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マツクルライトノベル『蝶の沓』22夜

第3章『跼む』22夜



凜花さんは言う。

「あんた、本当に馬鹿だね。見捨てるとか見放すとか、男と女の話じゃあるまいし。前にも言ったでしょ?あんたはあたしの妹に似てるし、なんつーか、こういうの、照れるけど、放ってなんか置けないのよ。あんたが一人前になって借金返して、野々村に復讐するまで、そばにいるよ。その後はあたしのこと、手伝ってもらう。あたしの復讐をね」

凜花さんは両の手で私の頬の涙を拭った。
私はホッとして、凜花さんに躊躇いながらも、聞いてみた。

「凜花さんの復讐って、亡くなった妹さんに関係ある事なんですよね?前に殺されたようなもんって言ってましたけど、いつか、ちゃんと話したくなる時が来たら教えてください。今はまだ、私、自分の事で精一杯ですけど、なんでも言ってください。私、ちゃんと役に立てるように努力しますから」

「うん、ありがとう。そのうち話すよ。今のあんたにゃ、ちょっときつい話だからね」

「いつでも、なんでも言ってくださいね。私、凜花さんは心の師匠と思ってます」

「師匠って…歳、そんなに変わんないじゃん!つか、また、こんな時間だー!明日、会社休みにしておいて良かったー!さあ、寝るわよ!」

ま、また家で寝るんですかー?いいんですけど...と心の中でぼやいたけど、一人寝よりは暖かくて嬉しかったから「はーい!」と返事をした。

「ちな(因みに)、明日、携帯買いに行くの付きあってあげるからね。そんで作戦会議よ」

作戦会議…なんの?と思いながら私は眠りの中へ溶けて行った。

目が覚めると凜花さんはまた例の変なポーズを取ってスーハーと呼吸しながらヨガをしていた。ストイックな人だなぁと感心してしまう。
おはようございますと半分寝ぼけた状態の私に、

「おはよう!すーはーー!これ終わったら支度して出掛けるわよ。すーはーー」

と凜花さん。

「イエスサーッ!」

敬礼の真似をして準備を始めた。
洗面所には見知らぬ歯ブラシがもう一本、歯ブラシ入れに刺さっていた。
え?これ、凜花さんの?戸惑っていながらも、歯を磨いていると、凜花さんが来たので、
歯ブラシを指しながら、

「ほえは、りんははんのれふは?(これは凜花さんのですか?)」

と聞いた。
すると丁度、歯ブラシを口につっこんだばかりの凜花さんも

「ほうよ。あらひ、はふらひ、だいふきなのほ(そうよ、あたし、歯ブラシ、大好きなのよ)」

と言った。そういう問題じゃなくて...と言いかけたけど、やめた。
邪魔になるものじゃないからだ。邪魔になるようなものを持ちこんだら、その時はちゃんと言おう!たとえば、ヨガに使うバランスボールとか、バランスボールとか、それに、バランスボールとか…持ってきそうで恐い。

支度を終えると、まずは新宿に出て携帯ショップで一番安い使用料のケータイを新規で契約した。
自分が二台もケータイ電話を持つようになるなんて。
ネイルにパックに、これからは毎月美容院にも行かなくちゃいけなくなるだろう。
美容院なんて月1どころか、4月に切って以来、一度も行ってなかったから、明日の昼間に予約も入れた。
いくら使ったのかなぁ。あと、どれくらい、お金が掛かるんだろう。
勿論、『ムーブメント』で頑張れば月末にはお給料がもらえるけど、その前に自分の貯金の目減りが気になる。
小さい頃からのお年玉やら学生時代のアルバイト代やらセコセコと貯めてきたもので、同世代の子よりは割と多めの金額だったけど、会社をクビになって無収入になってからは、 家賃や光熱費、(殆ど使わない)ケータイ代、食費…必要最低限なものだけでもバカにはならない。
おばあちゃんが貯めてくれていたお金には手を付けたくないし、
とは言っても慰謝料200万円の支払いは来月から始まる。
毎月10万円ずつを20回…気が遠くなる。出来るなら、早く返してしまいたい。
返済期間が長ければ長いほど、野々村との関係もまだ続いているような気がして、私は気分が悪くなった。
余程、暗い顔をしていたのだろう。凜花さんは

「大丈夫、こんなケータイ代なんてあっという間に回収できるわよ!大丈夫!安心しな」

と笑ってそれから遅い昼食を取ることになった。



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