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マツクルライトノベル『蝶の沓』81夜

第9章『蹂む』81夜



凜花さんの復讐から3カ月が経った。
街はもうすっかり冬の風景に変わっていて、強い北風が吹けば、行き交う人々はみなコートの襟を立て、寒さに凍える季節になっていた。
畠さんとは夢のようなクリスマスを過ごした。
東京タワーが見えるホテルの一室でルームサービスを頼んで、静かに食事をしてから、私たちはプレゼント交換をした。
私はシンプルなデザインの純銀のカフスボタンを畠さんに贈り、畠さんはティファニーのネックレス(なんとかビーンってシリーズのもの)をプレゼントしてくれた。
畠さんは私の後ろに回ってネックレスを付けてくれる時に、私の耳たぶを甘く噛んだ。
あん、と息が漏れてしまう。
そして、畠さんは私を向き直させると

「とても綺麗だよ」

と口付けてくれた。
シャンパンと夜景と畠さんのキスに酔いしれた夜だった。
私たちは服を着たまま抱き合って眠った。本当にそれだけだけど、素晴らしい夜だった。
初めて、私の横で畠さんが静かな寝息を立てて、安心しきって眠っている。
無防備な寝顔がまるで子供みたいで、可愛くて、愛しくて、嬉しくて、泣きそうになった。
目覚めたときにも畠さんが横にいた。

「おはよう」

とキスしてくれる。その事が私への最高のプレゼントだった。
私は畠さんにそれを伝えると、畠さんは、

「毎日でもこうしていたいよ、本当はね」

とはにかみながら笑った。

お正月はさすがに実家に帰らなければならなかったので、共に年を越すことは出来なかったけど、カウントダウンは電話越しに一緒に出来た。
おばあちゃんには「友達に電話!」と言って、寒い廊下に出て、

「あけましておめでとう!」

を同時に言うと、居間からおばあちゃんの、

「ああ、あけましておめでとう!」

という声が聞こえて笑ってしまった。

「畠さん、愛してます。今年もよろしくしてください」

私がなんだか変な日本語で新年の挨拶をすると、畠さんはケータイの向こう側で笑って、

「愛してるよ。今年もよろしく」

と言ってくれた。
それから三が日はしっかりとおばあちゃん孝行して、4日に東京に戻った。
駅の改札でおばあちゃんは

「まだまだ寒いから、ちゃんとあったかいもん、食べて、あったかい格好すんだよぉ。会社の皆さんにもよろしく伝えてなぁ。んだけど、無理はせんでなぁ」

と言って、私の手を握りしめた。

おばあちゃんに「会社の皆さんにも...」と言われた時は、正直、ドキッとしたし、申し訳なさで胸がいっぱいになり俯いてしまった。
おばあちゃんはそれを私が東京に戻りたくないんじゃないかと勘違いしたらしく、

「辛かったら、いつでも帰ってきていいんだかんねぇ」

と握りしめた手に力を入れた。
私は首を振って、

「私は大丈夫だから。おばあちゃんこそ、畑、無理しないようにね」

そう言って、おばあちゃんの手を解いた。
おばあちゃんの手は去年より小さくなってて皺も増えてた。

東京に戻ったその足で新宿に出た。
勿論、畠さんと会う約束をしていたからだ。
私は実家でついた餅と地元で名物の漬物をお土産と言って渡した。
畠さんは困っているのを無理矢理隠して笑った。

「本当はこういうのは要らないっておばあちゃんに言ったんですけど、お友達に持ってけって聞いてくれなくて。でも、おばあちゃんと次郎おいちゃん、あ、近所のおじさんなんですけど、二人でついたお餅は本当に美味しいんです。なんか、もち米が違うらしくて」

私は懸命に言い訳する。

「嬉しいよ。本当に嬉しい」

畠さんはそう言って、街中なのに抱き寄せてくれた。
この人は、どこまでも優しい。優しくて、温かい。
そうやって、日々は過ぎて行き、もうすぐ、カレンダーは1月も終わろうとしていた。



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