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マツクルライトノベル『蝶の沓』40夜

第4章『踰える』40夜



私がパクチーが苦手だというと、畠さんは適当に注文してくれて、店員さんに

「全部、パクチー抜きで。大辛にしてね」

と付け加えた。
料理はすべてスパイシーで、二人で辛―い!とか唇が痛ーい!とか、でも美味しい!とはしゃぎながら食べ進めていると、畠さんは急に真面目顔になって言った。

「僕はたまにしかああいう店にはいかないんだけど、瑠璃果ちゃんみたいな子がいるとは思わなかったよ」

畠さんは言葉を続ける。

「なんて言うかキャバ嬢の子って独特じゃない?瑠璃果ちゃんはちょっと違う感じがする。雰囲気がキャバクラって感じじゃないんだよね」

「私、キャバ嬢合ってないですか?やっぱり、みんなみたいに可愛くないですか?」

自信なさげに言うと、

「そういう意味じゃないよ。瑠璃果ちゃんは可愛い。あの店の中で一番可愛い」

畠さんは慌てて言った。

「でも、なんていうか夜の匂いがしないんだ。それこそ、おばあちゃんの畠を手伝ってる時のお日様の匂いみたいな方がしっくりくる」

と残っていたビールを一気に飲んで、店員におかわりを頼む。

「何か事情があるんじゃない?良ければお父さんに話してごらんよ」

おどけて、またお父さんだなんて。私は笑ってしまって、でも、

「事情はもちろんあります。でも、それは自分の責任で。それに、私、畠さんの事、お父さんなんて思ったことありません!」

ときっぱり言った。

「お金のことなら、相談に乗るよ」

私は首を振った。

「自分の失敗ですから、自分でけじめつけます。乗り越えて見せます」

と決意を伝えた。

皿の上のものが綺麗に無くなると、

「もう少し遅くなっても平気?」

と畠さんが尋ねてきたので、私は大きく頷いた。
移動した先はカウンターとテーブル席が4つくらいしかない静かなバーで、私は初めてジントニックというカクテルを飲んだ。

「美味しい!カクテルって美味しいんですね?このジンの香り、好きです」

「でも、やっぱりウーロンハイには勝てないでしょ?」

畠さんはバーボンのロックをゆっくり口に含めて味わっている。
畠さんが相手だと話しやすいのか、酔っているからなのか、
私は胸の内を隠しきれずにいて、

「こういうこと、伝えるの、初めてだから、すっごく緊張するんですけど、私、畠さんの事、男の人として、とても気になってます」

いきなり『好きです』というのも勇気がなくて、でも、私の気持ちはわかってくれたはず。
人生にして初告白!我ながら大胆になったものだ!
それなのに、畠さんは真剣な私をからかうように、

「僕もすっごく気になってるよ。まるで娘みたいに」

と言ってのけた。

「そういう言い方は傷付きます。っていうか、娘さんがいるんですか?」

私はぷーっと頬を膨らませながら、訊いてみた。

「いないよ。結婚歴なし。独身です」

『独身!』その言葉で私はまたトキめいた。

「でも、彼女とかいますよね?」

恐る恐る質問する。

「彼女がいたら、キャバクラには行きません。僕はこう見えて誠実な男です」

と真顔になった。
その言葉で私はすっかり有頂天になってしまい、ジントニックを一気飲みした。

「じゃあ、時々でいいので、またこうやって会ってもらえますか?」

「勿論!喜んで!いつでも好きな時に連絡して」

畠さんとの二人きりの時間、バッグの中でケータイが何度も震えたけど、私は無視した。多分、鈴木さんだ。
今の、この時間だけは誰にも邪魔されたくなかった。
私は、鈴木さんにキスされてる写メ画像を無理やり頭から追い出した。



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